最近、不動産クラウドファンディングの商品で「配当遅延」が発生し、ニュースで大きく取り上げられています。
その影響で「デジタル証券も不動産クラウドファンディングと同じなのではないか」という不安の声をいただくことがあります。
結論から言えば、両者は法規制・資産管理・商品化のプロセス・商品の成り立ち・投資対象・利回り表記と換金性まで根本的に異なる仕組みです。
今回は、その違いを徹底的に解説していきます。
デジタル証券と不動産クラウドファンディングの主な違い
デジタル証券 | 不動産クラウドファンディング | |
---|---|---|
商品の成り立ち | プロ品質を個人に届ける手段 | 個人向けに設計された商品 |
法規制 | 金融庁の監督のもと、詳細な情報開示が義務付けられる | 国土交通省管轄のもとで運営される。金商法よりも規制は緩やか |
資産の守られ方 | 投資家のお金は事業者本体の資産や他ファンドの資産と完全に切り離される | 事業者により管理体制が異なる |
商品化プロセス | 銀行のローン審査と信託銀行の受託審査が必須 | 事業者の判断に依存して商品化される |
投資対象 | すでに稼働し、安定的な収益を生み出している資産が中心 | 投資対象案件ごとにリスクとリターンの振れ幅が大きい |
利回り表記や換金性 | 基本的にインカム(賃料収入)を原資とする。 キャピタルゲインは見込まないが、発生した場合は利回りにより上乗せされる |
一見高利回りに見えるが、数カ月程度の短期案件が多く、トータルの利回りが大きくなりにくい |
商品の成り立ちのちがい
まず、両者の「出発点」がまったく異なります。
- デジタル証券
資産運用のプロが実際に投資しているような金融商品を、小口化して個人投資家にも参加できるようにしたものです。
- 不動産クラウドファンディング
最初から個人投資家向けに設計された商品であり、プロの機関投資家が投資対象とすることは基本的にありません。
💡 つまり、デジタル証券は「プロ品質を個人に届ける」仕組みであり、クラウドファンディングは「個人向けに設計された商品」という出発点の違いがあります。
法規制のちがい
- デジタル証券
金融商品取引法に基づき、金融庁の監督を受けます。株式や投資信託と同水準の厳格な規制が課され、有価証券届出書などの詳細な情報開示が義務付けられています。
- 不動産クラウドファンディング
不動産特定共同事業法(国土交通省管轄)のもとで運営されます。金商法に比べると規制は緩やかで、事業者の裁量に委ねられる部分が大きいのが特徴です。
💡 「規制の重さ=投資家保護の厚さ」と理解すると分かりやすいでしょう。
資産の守られ方のちがい(分別管理)
- デジタル証券
ファンドごとに専用の“別会社”を設立し、他と混ざらないように資産を管理します。これにより、投資家のお金は事業者本体の資産や他ファンドの資産とは完全に切り離されます。
仮に証券会社が倒産しても、投資家が保有している個別株が消えてしまうことがないのと同じ仕組みです。
- 不動産クラウドファンディング
事業者の種類によっては専用口座や信託による分別管理を義務付けられているケースもありますが、帳簿を分けるレベルにとどまる場合や、そもそも分別管理が十分に行われていない場合も存在します。
分別管理が不十分だと、万一その事業者が倒産したときに、投資家のお金が他の事業資金と混ざってしまい、返還されないリスクがあります。
そのため、クラウドファンディングに投資する際は、事業者の管理体制をよく調べることが重要です。
商品化までのプロセスのちがい
- デジタル証券
銀行のローン審査(担保評価や収益性)と、信託銀行の受託審査(信託財産として適格か)という二重のチェックを経て、初めて商品化されます。
このため、収益性・健全性が客観的に確認された資産だけが投資対象になります。
- 不動産クラウドファンディング
銀行や信託銀行による厳しい審査は必須ではなく、事業者の判断に依存して商品化される場合が多くなっています。
そのため、案件によっては「事業者が良いと思えば商品化できる」という性質があり、品質や安全性にばらつきが出やすいのが実情です。
投資対象のちがい
- デジタル証券
すでに稼働し、安定的な収益を生み出している資産(不動産等)が中心。賃料収入等を定期的に投資家へ分配する仕組みです。
そのため、収益の源泉が明確で、分配原資が安定しているのが特徴です。
- 不動産クラウドファンディング
投資対象によってリスクとリターンの振れ幅が大きく、案件ごとの差が大きくなりがちです。
そのため、稼働中の資産に投資する商品もありますが、更地に投資し、建物を建てて売却益を狙う案件も存在します。
こうした案件は、成功すれば大きな利益を期待できますが、不確実性が高く、現在ニュースで報じられているような配当遅延などのリスクが発生しやすいのも事実です。
利回り表記と換金性のちがい
- 不動産クラウドファンディング
一見高利回りに見える商品もありますが、数か月程度の短期の案件が多く、トータルの利回り額は大きくなりにくい傾向があります。
また、売却時の出口を予測してキャピタルゲインを含めた利回り表示になっているケースも多いため、注意が必要です。
さらに、資金は期間中ロックされ、途中で換金することはできません。
- デジタル証券
基本的にインカム(賃料収入)のみを原資とした利回りです。キャピタルゲインは含まれていません。もちろん、償還時にキャピタルゲインが発生した場合は、その分が利回りに上乗せされます。
期間は通常5年前後とやや長めですが、その間、定期的に安定した分配を受け取ることができます。
さらに、デジタル証券「renga」では投資家同士で売買できる仕組みを持っているため、資金ロックの懸念が小さく、必要に応じて途中で換金することも可能です。
まとめ:仕組みを理解して商品を選ぼう
まとめ
- デジタル証券=資産信用型。裏付けとなる投資対象そのものに対して投資する仕組み。
- 不動産クラウドファンディング=事業者信用型。その会社を信じてお金を預ける仕組み。
もちろん、不動産クラウドファンディングの中にも健全に運営され、安定した商品を提供している事業者は存在します。
しかし、制度・分別管理・審査体制・商品の成り立ち・投資対象・利回り表記と換金性という観点で見ると、デジタル証券とは根本的に異なる仕組みです。
そのため、ニュースで取り上げられている一部の不動産クラウドファンディングでの配当遅延と、デジタル証券を同じように心配する必要はありません。
デジタル証券「renga」は、このような「資産運用のプロも投資している金融商品」を提供していくことで、投資家の皆さまに安心して選んでいただけるような資産運用の仕組みを届けてまいります。